2018-4-23 房日新聞より転載情報

房日新聞(2018年4月12日記事より転載)

南房総 本紙連載の挿絵691枚寄贈 「公的機関へ」と館山教委に

 水墨画の山鹿公珠さん 里見氏の史実に沿った本紙連載歴史小説〈春の國〉〈夏の波濤〉〈秋の幻〉。作家、夢酔藤山さんの三部作小説に挿絵を描いた山鹿公珠さん(本名・公子)が10日、一連の挿絵一式691枚を館山市教育委員会へ寄贈した。出山裕之教育長らが、山鹿さんがオーナーを務めるギャラリーsfk(南房総市下滝田)を訪れ、ファイルごと寄贈を受けた。
小説は2008年8月に、房日新聞創刊60周年を記念して、春の國の連載がスタート。2014年9月に、続編の夏の波濤、2016年6月には最終作の秋の幻が、それぞれ連載開始に。里見氏が活躍した戦国時代から物語が始まり、伯耆の国・倉吉で非業の最期を遂げるまでが、史実に基づいた小説として描かれた。
房日新聞社に連載小説の企画が持ち込まれた際、膨大な量の挿絵となることから、画家の選考が難航。独自の画風を確立していた山鹿さんに白羽の矢が立った。山鹿さんが小説をじっくり読み込み、連載開始の半年前から描き始めた。
作画は2007年から丸10年にも及び、「これほど長くなるとは思わなかった。でも(今より若いころで)勢いで描けた側面もある」と山鹿さん。
A4判変形の楮(こうぞ)和紙に墨の濃淡で描いた作品は、春の國が112枚、夏の波濤は332枚、秋の幻が247枚となり、連作としての一大作品になった。「自分で保管するより、公的な場所で多くの人に見てほしい」と、山鹿さんが寄贈を申し出た。
市立博物館の溝江晃館長は「画家の長い間の思いのこもった原画の寄贈をいただき、感謝したい。連載小説のストーリーも含めて、挿絵とともにこの地域の歴史や文化、良さを後世へ伝える資料にしたい」と語る。
絵は全て裏打ちされており、額装も可能な状態。「市民の目にふれるよう、何らかの形で展示していきたい」と溝江館長。

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原画を見る出山教育長(右)=ギャラリーsfk

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挿絵の原画を寄贈した山鹿さん(中央)=同