房州日日新聞にて、夢酔藤山氏の新連載『夏の波濤』がスタート

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これまで里見氏を題材にした小説を執筆し、里見氏大河ドラマ化実行委員会とも縁の深い夢酔藤山(むすいとうざん)氏。当WEBサイトの限定連載『冬の光』でもおなじみです。

その夢酔藤山氏が、平成20年度の『春の國』に続いて、このたび房州日日新聞にて、9月10日より新連載『夏の波濤』をスタートしました。里見義頼の時代、天正10年より物語は始まります。

【あらすじ】
天正10年、甲斐武田氏を滅ぼした織田信長は天下を目指していた。
日本中も、関東も、すべての豪族たちも、否応なしにその騒乱の渦中へ巻き込まれていった。熾烈な家督争いを勝ち抜き房総の覇者となった安房国主・里見義頼とその子・義康は、将来を見据えて駿州江尻で信長に対面した。少年・里見義康にとって、信長は眩しい存在だった。信長もまた、義康の非凡な器を見定め、縁者との婚姻を口にする。
それが、一期一会の織田信長の姿だった。
本能寺の変により信長という強烈な個性が失われ、世の中は大きく動き始める。
関東は小田原北条氏に従うもの、従わないものに大別され、前者は信長の同盟者・徳川家康、後者は中央の覇者・羽柴秀吉と結びついていく。
里見義頼は秀吉と結び、将来の安泰を見定めながら若くして病没した。15歳の青年当主・義康はその跡を継ぎ、北条と対峙しながら上洛を果たして世の中を知っていく。やがて小田原の陣が勃発、秀吉勢として里見の軍勢もこれに臨む。
日本史上もっとも絢爛とされた安土桃山時代を駆け抜け、近世大名へとゆるやかな変貌を遂げる里見義康。徳川家康・佐竹義宣に継ぐ関東の雄として、このとき里見は一族の最盛期を迎えようとしていた。
やがて、秀吉という巨星が没し、徳川家康の時代がはじまる。
天下分け目の関ヶ原。
このとき義康は宇都宮城の結城秀康陣にあって、武勇で知られる上杉景勝の南下に備えた。その功績により加増、義康は徳川譜代以外の外様大名として関東最大の勢力となる。
しかし、若くして義康は急死した。里見家には僅か10歳の嫡男・忠義の時代が訪れる。最後の当主として、忠義に課せられた運命は重い荷の如し。最後の地・倉吉へ向けて、里見氏終焉の歯車が、ゆるやかに動き出そうとしていた。

この物語は、滝沢馬琴の伝奇浪漫により真実を曇らせて、世人が知る機会の少ない謎多き戦国大名・里見一族の晩期三代を描くものである。そして、戦国乱世を生き抜いた里見三代へ向けた、最盛と没落を描く鎮魂のドラマである。
※その前時代(里見義堯・義弘)は平成20年度に「春の國」(房州日日新聞)にて発表。
今回はその世界観を受け継ぐ、独立した作品である。